研修報告

3月27日 TKC中部会生涯研修

 この日は、中央大学学長、法科大学院教授の福原紀彦先生においでいただき「①少子高齢化社会・Fintechビジネスと金融法の展開、②コーポレート・ガバナンスと会社法・金取法・税法の協働」と題して講義を受けました。
 ①は少子高齢化による人手不足、政府のいう働き方改革などにより、働く人、働く時間が少なくなるのにどう対応するかという視点からのお話で、機会化、コンピューター化の促進が図られる一方で、人生100年時代においてリタイアという考え方はなくなり生涯学習により働き続けることになるのでは、ということを考えました。②ではゴーン事件や残波事件(平成28年(行コ)第205号)事件を例にとり、役員報酬について会社法・金融商品取引法・税法との関係についてお話しがありました。会社法は定款又は株主総会で定めることを規定しており、報酬を決めるポリシーの明確化を求めている。そして、会社法では、「会社法に従いなさい、あるいはそれに従わない場合には従うことが相当でない理由を説明しなさい」(comply or explainというエンフォースメントのルール)と規定しているのに対し、現状は「ごめなさい」で終わっている。企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)に関する開示を充実させる一環として、金融商品取引法は様々な開示を要求している(ゴーン事件)。次に中小企業にあっては、法人税法における過大役員報酬の規定が置かれているが、その企業の適正な役員報酬の金額を課税庁がいう「倍半基準」によって算定するのはいかがなものか、というのが福原先生の立場でした。企業の報酬ガバナンスが構築されていれば(会計参与の設置など)、税法規制は必要ないのではないか。役員報酬のインセンティブという機能に期待される今日において、この規定はそぐわない。税法規定は架空役員報酬を規定するものでいのではないか、という意見でした。法人税法の過大役員報酬規定は反対意見が多く、早く改正されることを望みます。

3月18日 TKC資産対策研究会

 「取引相場のない株式の評価」と題して昨年の11月から開催されている研究会の第3回目でした。毎回TKC税務研究所の先生に来ていただいて講義を受けるとともに、直接受講者である会員の質問に、他の会員から意見をもらうとともに、講師の先生のご意見ももらっています。私は、自分が業務で直面している疑問について、よく質問させていただいています。
 平成30年より特例事業承継税制が設けられているほどに、現経営者の高齢化が問題とされています。法人の事業承継を考えるうえでは、まず自社の経営状況(強み、弱みを含む)の確認し、自社の株式の評価から始めます。そのためには、いろいろな条件による株価評価の違いを勉強して、今後の対策の検討に役立てたいと思っています。

2月15日 TKC中部会租税判例研究会

 この日の研究テーマは「従業員参加型の慰安行事に要した費用の交際費該当性」と「宗派を問わない納骨堂と固定資産税非課税措置」についての争いでした。
 私は、第1のテーマに特に関心がありました。企業にとって、従業員の確保と働くモチベーションをアップして、やめないで働き続けてもらうことは大きな課題です。従業員への会社の方針を伝える場であり、みなの士気を高める大切な会を、全体としての金額が大きいからという理由で交際費に該当すると言われるのには強い抵抗感があり、そんな課税庁の姿勢に対し理論的に突破する方法はないかと日頃から思っていました。この事案の弁護士さんも現場重視の方ですので、従業員への聞き取り調査とか、他の慰安旅行との比較とかいろいろして、年1回の日帰り慰安旅行がちょっと豪華だからこそ従業員が喜び満足して、また頑張って働いてくれるのだ、という判断を勝ち得たことに意義があると思いました。
 第2のテーマでは墓所の敷地なら非課税なのに、宗派を問わない納骨堂は、墓所とは違うので非課税にはできないというものでした。しかし、墓じまいをする人たちも現れているようですし、墓を建てずに納骨堂にお骨を納めるだけにする人たちも増えているようですし、現実の変化を考慮した判断がされてもいいのではないかと思いました。

2月13日 TKC中部会新春特別講演会

 弁護士の菊池幸夫先生に「出会いの人生から学んだこと」という講演がありました。印象的だったのは、刑事事件(交通事故の加害者、冤罪事件の加害者など)における被告の弁護のために菊池先生は現場確認を入念に行って、検事より詳細な情報を得て裁判官に検事の主張を覆すよう訴えると言われたことです。ウソかホントか現場に行って観察したり、その近辺の人に聞いたり、その努力によって訴えられている人の身の潔白を証明する、これは私たちの巡回監査において現場に出向き、現場で行うことの大切さと似ているな、と思いました。

1月12日 日本税法学会中部地区研究会

 日本学術振興会特別研究員本部勝太先生による「アーンアウトの課税に関する研究」報告と、同志社大学法学部教授の田中治先生による「債務免除益に係る所得税法上の取り扱い」という題名報告がありました。前半の「アーンアウト」という概念については何も知らなかったのですが、M&Aを行うに際し、売主と買主の価値評価に差がでることが少なくなく、欧米では、その場合に買主が売主に対して設定する特殊な買収対価のことをいうのだそうです。今後日本においても企業買収が多くなるなら、課税上の扱いについて研究し、法の定めが置かれることが必要という主張にはうなずけるものがありました。
 後半の田中先生によるテーマは、最近の判例研究により関心を持っていたテーマなので、非常に考えさせられました。①債務免除が何に基因しておきたのかによって何所得にあたるのかという判断、②債務免除益を所得に計上しなくてよい場合(「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である」場合)とはどのような場合か、それをいつ判断するのか、③給与所得となった場合、債務免除をした会社は源泉徴収義務を負うのか、という問題があります。これらをひとつひとつ丁寧に確認していくお話しは印象的でした。課税庁は源泉徴収すれば税金を確保できると考えているようですが(非居住者が1億円を超える不動産の譲渡をした場合における源泉徴収義務について、非居住者かどうか調べる責任の重さについて最近争いがあり不動産業差にとって酷な判決がでました。)、給与所得該当性について明らかである場合でなければ、給与所得として源泉徴収するべきでないと考えます。

12月11日 TKC中部会生涯研修

「次の震災について本当のことを話してみよう」というテーマで名古屋大学減災連携研究センターセンター長・教授の福和伸夫先生にお話しを伺いました。
地震防災・地震工学を專問にしてみえます。先生によれば、「南海トラフは必ず来る。大規模災害では公的支援は不足するので、自助が基本。今すぐできる自助の基本は、耐震化と家具固定だ。」と言われました。「今日のホテルは階段がなくエレベーターだけだから、ここまで来るのが怖かった。」とも話してみえました。エレベーターに乗っている最中に地震がおきたらどうなるか、を今までの事象からお話しされました。私もこれは階段派にならなければ、と思いました。家具固定の視点で家中を見回して不足な箇所のチェックをしました。
 それと、今名古屋の大手70社と「ホンネの会」を始められたとのこと(議事録は作らない)。組織の死命を制する防災は「ホンネ」で語らなければダメ。「自分の組織の悪いところを正直に話すこと」「嘘をつかないこと」が入会資格。この場で話されたことをそれぞれ会社に持ち帰って会社の防災・減災に生かしているそうです。嘘からはいいことは生まれないよね。
 名古屋大学にできたという減災館を是非訪ねてみたいと思います。

11月26日 東海税理士会協同組合広栄会

 「税理士が相続事案に関与する場合の注意点」と題して税理士・公認会計士・弁護士の関根稔先生の講義を受けました。
 まずは、昭和の時代と平成の時代を考えたとき、昭和の時代は、地価が上昇し、家賃が上昇し、事業が拡大し、寿命は70歳であったが、平成の時代は、地価が下落し、家賃が下落し、事業は縮小し、寿命は90歳という時代という認識を確認し、これからは「子に財産を承継させる時代ではなく、自分の人生に責任を持つべき時代」と結論づけてみえます。だから、70代で財産と事業の承継を行う。そうすれば、遺留分の問題をクリヤーすることが可能でしょう。そして、夫婦で平穏な老後を過ごしましょう!というのが、関根先生のメッセージでした。
 また、関根先生は民法改正のなかでも相続法についての解説がありました。
世間では「配偶者の居住権の保護」が話題になっていますが、「これは不和な家族の話であり、不和な家族では結局遺産分割協議が整わないでしょう」、というお話には、「ごもっとも」と思いました。人間の心理についての深い考察が必要でしょう。

11月13日 東海税理士会

 消費税改正とともに、今年の大きな問題は民法改正です。2020年4月1日に施行されることが決まったそうです。
 先月に続き、この日も弁護士の江口正夫先生から民法改正の講義を受けました。
民法改正のメインは第1編総則の一部と第3編債権法の部分と第5編相続の部分ですが、この日のお話しは民法のなかでも「債権法」の改正がメインでした。ひとつは時効について、もうひとつは賃貸借契約についての改正が印象的でした。
 時効は、いままで条件、職業によりいろいろ分かれていたものが、5年に統一されました。例外として、「生命・身体の侵害による損害賠償請求権は10年が20年に、一方、給与債権の2年という時効期間はそのままです。また、「協議による時効の完成猶予」という規定が新設されました。覚えておきたいと思います。
 また、賃貸借契約における主な改正点は①個人の連帯保証契約に関する改正②賃貸借の存続期間を20年から50年に延長③賃借人の賃貸目的物に対する修繕費の明文化④賃借物の一部滅失等の場合の賃料の当然減額⑤原状回復義務に通常損耗は含まないことの明文化の5つです。なかでも、原状回復をどうとらえるかが、今までの争いには多いので、原状回復の内容が規定されました。安易に規定の契約書を使用するのではなくて、賃料との見合いでどちらがどこまで責任を負うかを入居契約書で明確にすることが必要かと思われます。

11月12日 TKC中部会生涯研修

 税理士の金井恵美子先生を講師にお迎えして「消費税の軽減税率制度及びインボイス制度への税理士の対応」と題してお話ししていただきました。
 軽減税率適用が所与のこととなった今、インボイス制度での適格請求書を見据えた区分記載請求書の発行への理解と、現実の対応が求められています。飲食料品を扱う各関与先にあっては、何度もプログラムの変更をしなくてもいいように、先を見据えた変更をしなければなりません。プログラム変更の発注前に慎重に検討が必要です。新たにIT導入により販売管理システム等を構築する場合には補助金もありますが、時間の余裕はあまりないように感じました。
 また、仕入税額控除に関してはどの事業者も関係があります。2019年10月1日より前にすべての関与先の指導を徹底しないといけませんね。
 でも、消費税の増税対策といって政府がどんどん対策を打ち出しており、事業者の手間は増えるばかりで、実際には増税以上の増税対策費がかかるとなると、少し空しい気がするのは私だけでしょうか。

10月22日 日税研理論ゼミ

 名古屋税理士会、東海税理士会と公益財団法人日本税務研究センターの共催により、明治大学大学院教授の岩崎政明先生による「民法の常識と租税法の常識―改正民法を踏まえて」という題目で研修がありました。
 本研修は、改正された民法の内容を前提として、租税法と民法の両者の間で生じうる不都合の領域において、どのような問題が起こりうるか、その場合にどのような解釈が可能かについてのお話しでした。
 本年120年ぶりの民法の大改正が行われました。今までの判例法理の成文化、経済活動の複雑化・高度化・国際化により生じた民法の空洞化を補充し、基本法としての民法の姿を取り戻すことを目的とされたそうです。
 しかしながら、民法(相続関係)の改正においては、税務とどうリンクしていくのか不明な点が解決されないまま民法が改正された項目があります。特に「配偶者居住権」なるものを考えて配偶者の住む権利を守ろうという話は、その権利をどう財産評価するのだろうか?という指摘がありました。
 民法は、守られるべき人が守られるように(配偶者とか、特別寄与した人とか、遺留分を侵害された人とか)民法改正をしたのでしょうが、相続財産の分配ということになれば、金銭に換算しなければならず、勇み足だな、と感じるのは私だけではないらしい、ということを実感した研修でした。
 家族法の領域においては、家族が円満で民法のお世話にならずに問題が解決されていくことが、幸せなんだな、と思いました。

10月19日 TKCタックスフォーラム

 リーガロイヤルホテル東京で開催されたTKCタックスフォーラムにおいて、慶応義塾大学教授の佐藤英明先生による「最高裁判決から見た租税法の解釈適用」という題目でのお話しがありました。
租税法律主義をとる我が国にあって、① 実質的妥当性(実質的に同じものは同じ扱いを受けるべき)を重視するか、② 法的安定性(この経済取引からどのような法的取扱いを受けるかが予測されること)を重視するか、租税法の解釈は、かつての最高裁判決では一貫した立場を見出しにくい。しかし、最近の最高裁判決を見ると、平成22年の「ホステス報酬事件」(最高裁判決平成22年3月2日民集64巻2号420頁)から、規定の文言の日本語としての「自然」な意味を重視するようになった。租税法令の厳格解釈が最近の流れであるが、明日どうなるのかはわからないので、判例に注視すべきであると言われた。
 予測可能性が重視されるべきではあるが、今後の動向に注意して、勉強を続けたいと思いました。

9月18日 TKC全国会資産対策研究会

 昨年の11月から1年間をかけて「事業承継税制と贈与税・相続税の納税猶予特例(事業承継税制の税務判断)」を学んできました。今回はその最終回でした。この研修が企画された後で「特例事業承継制度(10年間の特例)」が税制改正で成立したこともあり、従来型制度と特例制度の異同についての研究もずいぶんできたと思います。事業承継で迷ってみえる経営者の背中を押すことができればいいと思います。

9月14日 名古屋税理士会

 名古屋税理士会主催研修ですが、東海税理士会員も参加できるということで、東京税理士会所属の税理士 伊藤住江氏 による「成年後見専門研究会」を受講しました。成年後見制度の理解を深め、必要な人の援助ができることを目指して研修を受講しています。成年後見制度でできることとできないことを明確にすること、最近問題になっている事案、税理士会が行政等とうまく連携できている地域の情報など、実際に関わってみえる方であればこその情報が多くて、ためになりました。成年後見制度が万能ではありませんが、法定後見制度ではなく、任意後見制度ならば、被後見人の方にとっても尊厳を損なうことなく、自分を守ってもらうこともできるのではないか、と考えるようになりました。

8月22日 租税訴訟学会名古屋支部

 6月に続き、同志社大学の田中治先生の講義を受けることができました。この日のテーマは「租税訴訟における要件事実論の展開」と題して「所得税法における要件事実論」と「課税対象・納税義務者・人的帰属に関する争いの問題・紛争論について」という2つの側面からお話しがありました。最近は、「要件事実論」ということばをよく聞きます。弁護士にはなじみがあるものということですが、租税訴訟においてもその考え方を知って争うことが大切であるという考えによるものだと聞いています。つまり、裁判官の判断において、最終結論を導くために、どの事実があてはめられているか、ということだそうです。
直接証拠がだせないとき、どんな証拠を出すことで推定が得られるか、具体的な事案を題材にお話しがありました。まだ私のなかでは、すっきりわかったというには遠い感がしますが、今後も勉強していきたいと思います。

8月21日 東海税理士会

 「税理士が知っておくべき最新裁判例2018年版」と題して、青山学院大学学長の三木義一先生の研修が行われました。「青色事業専従者の判断基準」、「代表取締役の退職に対応する分掌変更か否か」「従業員への豪華な『感謝の集い』は交際費か?」など、最近の判決で考えていたものが多かったので、よかったです。特に「豪華な感謝の集い」の判決については、三木先生が関わられた案件ということもあり、パート主婦が多い会社にあっては、社員旅行では参加できる人が少ないこと、2日以上を休みにすることは生き物を相手にしているこの会社にとっては困難なこと、そして、「豪華な感謝の集い」によって、社員のモチベーションを挙げるという効果を得られていることなど、判決の背景にあった事情が知れて、それらを考慮しての判決であったことがわかり、事情の説明の大切さを改めて感じました。

7月25日 東海税理士会津島支部

 名古屋法務局津島支局の「法定相続情報証明制度」の担当官においでいただいて研修が行われました。この制度が始まって1年余がすぎ、相続税の申告書においても利用することができるようになったこともあって、今一度制度の確認の意味も込めて研修を受講しました。今までは手探りで書類を作成していましたが、疑問事項を直接尋ねることができたので有意義でした。また、相続手続の現場においても、最近はようやく認知されつつあるという感触を得ています。この制度の浸透を願うばかりです。

7月18日 東海税理士会

 「最近の税賠訴訟事例」というテーマで弁護士の内田久美子先生の研修を受けました。毎回思うことですが、依頼を引き受けるときには、相手をよくみて、引き受けるかどうかを判断すること、内容を明確にした契約書を交わすこと、毎回の相談事項、依頼事項を文章にして残しておくことが大切であるとつくづく感じました。「怪しげな人には近づかないのが原則」だと内田先生はいわれますが、全部を開示してもらわなければ正しい判断はできません。そのうえでの自分の判断ミスであれば訴えられてもやむなし、と思います。しかし、一方で、税理士のうっかりミスや思い違いでの間違いは極力避けたいものです。他人の事案に学び、知識を深めるとともに、ミスを防ぐ仕組みを作りたいと思います。

6月13日 日本税務研究センター

 日本税法学会理事長他要職を務められている同志社大学教授の田中治先生のお話しを聞きに、大阪(近畿税理士会館)まで行ってきました。
 この日のテーマは「租税判決の読み方―近時の注目すべき判決を素材に」でした。研修は、そもそも、判決は誰を縛るのか、租税判決は何をめぐる争いなのか、その紛争はなぜ生じるのか、という基本的な論点を検討することから出発して、租税判決を読み、理解する際、何に注意すべきかを考えるものでした。
 日頃の租税判例研究を通して漠然と考えていたことがクリアになって、今後の判例研究に生かしていきたいと思いました。

6月7日 TKC中部会生涯研修

 この日は「平成30年度税制改正のポイント」と題して、TKC税務研究所の先生方に研修をしていただいた。
 特に、今年は事業承継税制の特例ができたことで、従来の事業承継税制との違いについて、詳しく説明してもらった。対象者の拡大(承継予定者1人→3人まで)、相続時精算課税制度が親族以外の承継者にも適用できるなど、従来の考え方を覆す規定もあったが、これは問題の先送りにしかならないので例外と捉えて、現経営者と今後のことをじっくり考えて事業承継計画を策定し、平成35年3月31日までに経産省の認定を受けることが必要であるというタイムリミットが設定されたことが大きなポイントであると思われます。そして、すでに経営者は交代しているが株価が高くて、持株の移動ができていなかった企業にとっては、朗報であると思われます。しかし、自社株式に関する相続税が免税になるのがいいことなのかどうかも含めて、現経営者と会社の将来について語り合うチャンスとしたいと思いました。

5月21日 TKC全国会資産対策研究会

 本年度の研修テーマは「事業承継税制」です。平成30年税制改正で、特例事業承継税制が始まったばかりで、タイムリーな研修となりました。今回は特に贈与税の納税猶予について、一般事業承継税制と特例事業承継税制との取扱いの違いについて勉強しました。研修を受けながら、これを一般のお客様にわかりやすく説明するのはどう話したらいいだろうか、と考えています。
 まずは、会社が承継計画を作成して都道府県に認定申請書を提出するところから始めなければなりません。承継計画の最終締め切りは平成35年3月31日です。その計画を提出し認定を受けた後で平成39年12月31日までに事業承継が行われた場合にこの特例の納税猶予が受けられるというもの。そうすれば、その後の相続であっても、この特例に対応した相続税の納税猶予が受けられるのです。
 計画を作成するために、現経営者とじっくり今後のことを話しあって、未来が描けたらいいですね。そこからじっくりお手伝いしたいです。

4月24日 東海税理士協同組合

 熊王征秀先生を講師にお迎えして消費税法の研修がありました。今回のテーマは「軽減税率と日本型インボイス制度」でした。来年10月1日には消費税率が現行8%から10%へ上がること、その際には一部8%の軽減税率が適用されることは、ほぼ間違いありません。むしろ、2回も消費税率の改正が延期されたことで、2020年にはプライマリーバランス0という日本の世界へのお約束は遠のくばかりです。税理士会は軽減税率の適用の導入に反対していますが、税理士としては決まったことには対応していかなければなりません。
 そのためには、軽減税率適用によってもたらされる現場での対応はどうしたらいいのか、関与先の業態に応じて考えていかなければならない時期にきていることを実感しました。
 来年10月から始まる「区分記載請求書等保存方式」そして、5年後の適格請求書等保存方式(インボイス制度)、そのためには平成33年10月1日以降に適格請求書発行事業者の登録を行わなければなりません。それによって請求書の形式はどう変わるのか、適格請求書の形式を想定して今から請求書の見直しも必要です。また、小規模事業者においては、消費税の課税事業者を選択しなければならないところもあるでしょう。簡易課税を選択しているところは、それが本当に良い選択なのかも考えなければならないところもあるでしょう。こうした様々なことを関与先に伝えていかなければならないと思います。
 今の日本の税制において、消費税ほど政策に翻弄されている税もないと思います。それだけ、毎日発生する身近な税だということでしょう。1年半後を最終期限として、今から早速準備に入りたいです。

4月16日 TKC中部会リスクマネジメント委員会

 NPO法人リスク・エイド副代表理事兼事務局長 伊集院剛史氏を講師としたリスクマネジメント研修でした。リスクマネジメントとは損害保険加入というわけではないと思うし、東日本大震災後よく聞くようになったBCP計画など必要だとは思うがどうしたらいいかわからない、というのが私の実情で、なんとなく不安感だけがあるというのが実情でした。
 今回の研修を受講して、まずは私の事務所のリスクの洗い出しから始めなければと思った研修でした。これからたくさん勉強しなければならないな、と思って帰路につきました。

3月22日 TKC生涯研修

 今回は弁護士の内田久美子氏に、民法改正のポイントについて、講義していただきました。今回の民法改正は債権関係の120年ぶり抜本改正と言われており、中小企業にもかかわってくることがたくさんあります。内田先生の民法改正についての講義は昨年4月に東海税理士会研修としても受講しました(そのときはこうなるはずというお話しでした。)が、昨年5月に成立し、6月に公布され、2020年4月1日には施行されることが決まった法律です。今回の改正は、「社会・経済の変化への対応を図り、国民一般にわかりやすいものとするために行われる。」ものだと言われています。民法制定時には想定できなかった事態において、争われている内容を公平に解決するために、裁判においては行われてきたことが明文化されているものも多くあるようです。常識が覆されるというものはないように思います。
 しかし、3月の国会審議を経て改正された相続法については、直接税法とかかわってくるものもあり、要注意です。配偶者の居住権の考え方など、民法で定めなければならない世の中のほうが情けない気もします。円満な相続を願いつつ勉強を続けたいです。

3月19日 TKC資産対策研究会

 今年度(平成29年11月平成30年10月)のテーマは「事業承継税制と贈与税・相続税の納税猶予特例」です。年間6回のコースで、ぎょうせい刊『Q&A事業承継税制徹底活用マニュアル』(今仲清著)のテキストを中心に学ぶことになっています。そして、平成30年税制改正において新たに特別法による事業承継税制もできました。当日は、平成30年税制改正大綱(平成29年12月22日閣議決定)を基に、現在学んでいる承継税制(租税時別措置法70の7、70の7の2)と今回の税制改正による特別法(租税特別措置法70の7の5、70の7の6)との比較をして違いを確認しました。
 今回の特別法は平成30年1月1日から平成39年12月31日までの10年間の特例ではありますが、代表者が代替わりを検討すべき年齢に達している中小企業にとっては朗報であり、事業承継を前向きに検討する良い機会でもあります。
 後継代表者が3名までよいとか、親族外承継にも相続時精算課税制度を使えるとか、問題の先送りとしか思えないような事項もありますが、平成35年3月31日までに会社が特例承継計画の策定をし、都道府県の認定を受けることが前提となっており、会社の今後の経営を考える良い機会として、関与先への案内と活用の検討を進めたいと思います。

2月14日 TKC租税判例研究会

  確定申告期直前の研修でしたが、同志社大学法学部教授の田中治先生の指導のもと、判例2題の研究をしました。第1の事案「外国親会社によるアワード付与利益に係る源泉徴収義務」(東京高裁平成27年12月2日判決)と第2の事案「固定資産税における介護付有料老人ホーム等の付属駐車場の住宅用地該当性」(東京高裁平成29年8月24日判決)でした。
 私としては、第2の事案のほうに興味がありました。東京都税事務所の条文の解釈に反対して、納税者が訴えを提起しました。最初の課税通知書に疑問を持ったことが出発です。地方税法を丁寧に読めば、裁判所の判断のようになると思われ、東京都の解釈には無理があると思われます。
 実務においては、新しい不動産であれば評価額の妥当性を検討すべきであるし、従来から賦課されていた固定資産税であっても、その根拠に関心を持って、課税通知書を検討すべきであると感じました。

1月26日 TKC中部会 新年互礼会 特別講演会

 講師に株式会社マザーハウス代表兼チーフデザイナーの山口絵里子氏をお招きして「一歩踏み出す勇気~途上国から世界に通用するブランドを作る~」というテーマでお話しいただきました。
 私は、山口絵里子さんの著書『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』『裸でも生きる2 Keep Walking 私は歩き続ける』『自分思考』の3書籍を読んで、当日お話しが聞けるのをとても楽しみにしていました。本当に過酷な環境で、途上国の人たちと対等な関係で、「日本で通用するブランドを作る」を貫けているのか?投げ出したくなるような目にいっぱい出会う、まさに号泣戦記である著書から受ける印象と違って、困難を飄々と乗り越えて生きているという印象の女性でした。「どうしてあんな危険な国々へ一人で行けるの?」って不思議に思うほど華奢な女性でした。でも内なる闘志は相当のもの。人を見かけで判断してはいけないです。
 印象的だったことは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ということがこの事業を始めるミッションだったわけですが、それを会社のphilosophyとして掲げていたことです。会社の経営にはトップが哲学、ミッションを持つことが重要だと話してみえました。そして、それを全てのスタッフに浸透させていくことを大切にして、その上で、それが自分自身の判断基準として生きていて、迷った時の自分の判断の軸となっている、まさに「生きている経営理念」と感じました。会社を大きくしたいのではなくて、経営理念の具現化のために活動していたら会社が大きくなってきた、という感じです。バングラディッシュ、ネパール、インドネシア、セイロンと生産地は広がり、今はインドを開拓中とのこと。お店は台湾、香港に広がっています。1年のうち8か月くらいは海外の生産現場で、4か月くらいが日本だとか。12年間で1人から350人の会社へ。だから、5年後、10年後の自分の姿、会社の姿を想像できないと話してみえましたが、自分を必要としていることとの出会いによって未来は広がっていくということでしょう。「自分で決めたことだから、なげだせない」「人からの評価ではなく、自分が納得しているかが大切」「働くことが喜びになるってどういうことか?」「生きるってどういうことか?」と問い続けながら生きているその姿が一緒に働く人たちに浸透して発展していくのだと感じました。新しい経営者の姿を見た気持ちがしました。

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