研修報告

6月 TKC生涯研修「税制改正研修」 

 毎年この時期には税制改正研修があちこちで行われます。「所得税法等の一部を改正する法律」が平成27年3月27日に成立、公布され、4月1日より施行されています。今年も何度目かの税制改正研修を受講しました。講師はTKC税務研究所の対象税目のスペシャリストの先生がお見えになります。今年は法人税と所得税関係に時間がさかれました。
 法人税法関係では、企業の競争力を高めるため、研究開発税制の見直しが行われました。試験研究費の平均売上高に占める割合に応じた税額控除割合に応じた税額控除が受けられます。また、製造業だけでなくサービス業も対応できるように、試験研究費の範囲の拡大も行われています。
 所得税法関係では、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが最も注目されています。配偶者控除については、配偶者控除をする居住者の所得の応じて控除金額が変わること、配偶者特別控除についても、配偶者特別控除をする居住者の所得に応じて控除額が変わることは配偶者控除と同じだが、その対象となる配偶者の所得金額は拡大されている。これは、平成30年分以後の所得税について摘要される。ただし、給与所得控除金額の見直しはされていないので、給与所得者本人の税額には影響しない。この点についての質問が多いので、新聞報道等により誤解されていると思われます。

 5月22日 TKC全国会資産対策研究会春季特別研修会

 TKC会員である今仲清先生から「平成29年度税制改正(政省令対応版)~ 資産税を中心として~」というテーマで、山本和義先生から「相続財産がないことの確認」というテーマで研修を行っていただきました。
 今年度の税制改正項目は少ないのですが、取引相場のない株式等の評価の見直しや広大地評価の見直しのように通達の改正でありながら、実務への影響が大きいといった分野の改正がありました。通達の改正は事前に改正の流れを確認しにくいということがあり、研修での正しい情報の収集が早くできてよかったです。ただし、講師の今仲先生がおっしゃるには、税制改正確定発表前の事前の情報に苦労してみえるようで、事前に情報を流しているのであるから、早期に情報を確認して改正前に打つべき手を打つことの大切さを強調してみえました。私はオンデマンド研修を3月中に受けていたのですが、実際には研修の受講者が少ないということでした。私は非上場株式の評価の改正に合わせて、株式の譲渡時期の検討をしたところもあります。
 また、山本先生の講義は、相続財産のないことの確認方法と、確認したけれどもその財産はなかったということの記録の重要性についてお話しがありました。私も申告すべき財産の存在の確認はするのですが、なかったことの証明にまで配慮がたりなかったことに気がつきました。ないことの確認までしているから、漏れのない申告書であることを書面により証明することができます。具体的な請求書類まで公開していただき、大変参考になりました。今後の業務においてすぐ実行したいと思っています。

4月19日 東海税理士会

 「税理士が知っておきたい民法改正」というテーマで弁護士の内田久美子先生の研修を受けました。前日の研修のまさに続きといった感がしました。民法が大きく改正されようとしている今、今後どうなるかを知りたいと思い参加しました。内田先生も「今この時期にこのテーマの研修を企画された東海税理士会さんはすばらしい」と言われていましたが、時機を得た研修であったと思います。
 債権や契約など民法の中核部分の改正は120年ぶりとのこと。社会・経済の変化への対応を図り、国民一般にわかりやすいものとするために行われるものだそうです。「時効の中断」など、言葉の意味がわかりにくいものなどが、改正されるようですし、今まで条文に規定がなく、判例により取り扱われていたものが規定されるなど、国民を守るもの、わかりやすいものを目指していることが理解できました。
 相続法の分野も高齢化社会の進展や国民の意識の変化に伴い、昭和55年以来の抜本的な見直しが検討されているそうです。しかし、まだまだ方向性が固まっていないものもあるようで、今後の報道に注意していきたいと思います。

4月18日 TKC中部会

 弁護士・税理士・社労士である山本洋一郎先生をお迎えして「事例でわかる税務と法律」というテーマで研修を受けました。
 山本先生は税務訴訟の勝訴率全国1位の弁護士ということで有名な方です。山本先生は、税法学の世界は、「簿記会計学」「民法等の実体法」「民事訴訟法」「行政法」の4本の柱の上に、「憲法」という屋根からなる家の構造をしていると説明されました。税理士は「民事訴訟法」になじみがない。しかし、税務調査立ち合いの時からすでに税務訴訟は始まっていること、そうなると裁判官の思考ルールを知らなければならないこと、それには民事訴訟法の基本原理を抑えることが重要である、というように講義が始まりました。税務調査の現場で調査官の無茶な指摘に対して民事訴訟法から、その無茶振りをすぐに指摘できるようにならないといけないということです。私自身の経験を振り返ってみて、「立証責任の分配」について自信がなくてすぐに主張できないばかりに結論を得るのに手間取ったことがあり、未熟であったと反省しています。研鑽を積みたいと思います。

3月24日 TKC中部会生涯研修

 第1部は「労務トラブル急増!今すぐ見直したい“会社を守る”就業規則・賃金体系」というタイトルで特定社会保険労務士の山嶋紀之氏より研修を受けました。
 山嶋先生がいわれるように、今は就業規則のひな型の類は簡単にネットで取ることができるので、それでよしとしている会社が多いように見受けられるが、実際には会社の実情に合わせて制定することによって、無用なトラブル、余分な割り増し賃金の支払を避けることができる場合があるので、慎重にするべきとのことでした。
 昨今は残業代の未支給という問題が新聞紙上で散見されるので、就業規則の見直しにプロの手を借りるのも必要かな、と思いました。
 第2部は「信託を活用した相続税対策」と題して税理士の笹島修平氏より研修を受けました。
 信託については何度かいろいろな講師から研修を受けましたが、当日のお話しは主に家族信託の実際と課税関係でした。いままでの研修は仕組みについてのウエイトが高く今一つ税の扱いについてわからなかったのですが、家族信託の契約を締結した時点で贈与税、遺言信託であれば相続税が課税され、契約によって誰が納税者になるか、という問題が簡潔に説明され、納得のいくものでした。
 信託は、相続税対策ではなく相続対策だと思いました。親の財産を本当に支援したい子に支援したい形で相続させる、それを形にするのが遺言信託だし、相続人に頼れる者がいれば、十分家族信託で親の希望を叶えることができると思いました。
 関根稔先生の信託の研修を受けたとき、信託は将来に亘る生活が不安な子がいる場合に利用するものだというお話しがあったのですが、まさにそうだなあと考えさせられる研修でした。

2月15日 租税判例研究会

 TKC中部会において、第126回租税判例研究会がありました。毎回判例2題を研究します。今回は「いわゆるヤフー事件」と「節税策に伴う課税リスクについて顧問税理士に説明義務違反ありとされた事例」でした。
 この事案(東京地裁平成28年5月30日判決)は、中小企業のオーナーが会社に対して有している貸付金が相続税の課税対象となる相続財産になることをどう回避するか、という相談が会社の顧問税理士法人にあったのが事の始まりでした。その対策に着手したところでオーナーが亡くなり、相続が開始しました。その相続税の申告を相続人が別の税理士法人に委託したため、会社の顧問税理士法人と相続税の顧問税理士法人の見解の相違による争いとなりました。会社の顧問税理士法人も当初の担当者が退社し、次の担当者及び代表税理士との間の引継が悪かったようで、ミスがあったのも事実です。相続税対策の提案も、最初の担当者の提案(第1案)と代表税理士の提案(第2案)が、比較検討されることなく第2案が進められ、結果として第2案は良い提案ではなく多額の法人税の支払いを余儀なくされたとして3億円余の損害賠償請求を受け、第1審では会社の顧問税理士の全面敗訴となりました。
 この事案を研究していて思ったのは、税務について十分な研鑽を積んでおくのはもちろんとして、1.相談、提案を文書で残すことの大切さ、2.どんな提案においても、税務の世界で一方的に有利ということは少ないので、その対策を取った場合のメリット、デメリットの比較検討を十分にした上で、納税者が納得して対策を実行することの大切さ、3.その選択過程を書面に残す大切さ、4.そして、担当者は人間ですから、退社だけでなく病気等業務に当たれなくなる場合に備えて、所内の意思疎通を十分に行うことの大切さなど、日常の業務のあり方を考えさせられる事案でした。

1月17日 TKC全国会資産対策研究会

 この日は、今年度(平成28年9月―平成29年8月)の研修テーマ〔土地及びその他の財産評価(相続税財産評価の税務判断)〕6回シリーズの第2回目でした。当日の講師はTKC税務研究所からおいでいただいた永瀬満先生でした。
 この日平成29年度税制改正大綱(概要)の資産税関係の情報をいち早くいただきました。相続財産評価については、通達であるにもかかわらず、例年税制改正大綱にあがります。私たちの業務に最も直結するのは、取引相場のない株式の評価における類似業種比準方式による株価の算定式の見直しがなされたことでしょうか。この問題については昨年のTKCタックスフォーラムにおいて中部会で研修発表させていただいたときに指摘した問題点のひとつでした。今回の改正点は1.類似業種株価がその評価時点の1年平均から2年間平均株価の選択ができるようになったこと。2.比準要素(年配当額、年利益金額、純資産価額)の3つの要素の比準割合が1:3:1から1:1:1となって、利益金額のウエイトが高かったのが平準化されました。しかし、これで問題が解決されたわけではありません。今や1つの企業が複数の業種にまたがる業務をしていて、何業種とはいえない場合、「その他のその他」業種に分類されてしまって、実態を反映しないということもあるからです。これも、昨年の研究発表で指摘しています。抜本的な改善がまたれます。とにかく、この改正は平成29年1月1日以降の相続、贈与において適用されるので、要注意事項です。
 また、この日のテーマである土地評価については、倍率適用の土地であっても、留意すべきことはたくさんあるよ、というご指摘がありました。1番に言われたのは、建築基準法の「一建築物一敷地の原則」を壊す遺産分割協議をすると、その後建て替え、売却ができない場合があるということでした。古い建物ですと、増築を繰り返している場合、どういう経緯で増築したかまで確認しないで安易なことはしてはいけないとのことでした。私も先日相談を受けた方の固定資産の名義を確認していて、問題を発見したので、遺産分割時の注意点として指摘させていただきました。その時々で安易になされることはあるのだな、と実感した次第です。後半では、会員先生方から土地評価における様々な質問がありました。土地はひとつとして同じものはないので、そもそもの考え方をよく理解していないと間違う危険があると再認識しました。有意義な研修でした。

12月7日 TKC全国会資産対策研究会

 この日は、大阪で冬季特別研修会が開催されました。講師はTKC中部会の竹本守邦先生他2名の資産対策研究会の委員の先生方でした。この日のテーマは「名義預金等の帰属判定・税務調査・書面添付」でした。
 第1部は、竹本先生による「裁判例等から学ぶ『名義預金等』の帰属判定と相続税調査への対応」でした。裁判例だけでなく、竹本先生自身の事案への判断を含め具体的な問題を絡めてのお話しは理解しやすかったです。
 そして、第2部の関谷政広先生、斎藤賢二先生の事案を通しての書面添付とその後の意見聴取、調査のお話しは有意義でした。納税者との信頼関係の構築は相続開始から10か月(依頼されるのが遅ければもっと少ない期間)以内の早い間になされなければ、相続税申告書の作成に齟齬をきたす恐れがあること、相続財産の確認の間のやり取りを書面に残しておくこと、確認を書類で行うことなど、申告業務を手掛けるなかで見つかってきたことなどは、説得力がありました。書面添付に自分がしたことを書くだけでは、自分を守るのに不十分であるとの指摘に、私も確認書類をすぐに増やしました。「納税意識の怪しい人の仕事は受けない」という意見にも賛成です。

12月5日 TKC中部会生涯研修

 この日の研修は、資産税担当の国税局職員を経て、現在は不動産鑑定士・税理士である吉村一成氏を講師にお迎えして「不動産鑑定士の眼から見た相続税財産評価の実践手法」をテーマとした研修でした。
 広大地の評価において、税務署職員も裁判官も不動産業を営んだことがないのだから、市場の常識をどううまく伝えるかが大切といわれた言葉に思わず頷いてしまいました。評価対象地に個別的要因が強い場合には不動産鑑定士に鑑定を依頼する価値があること、鑑定士には相続税法の考え方はないので、評価対象地を財産評価通達上の評価単位と一致させることが大切であるとの指摘は、やはり先月の関根先生と同じく2つの立場で仕事をしてみえる方のものだな、と思いました。業界の当たり前は他の業界の方の当たり前ではないということを改めて感じました。気をつけたいと思います。
 それと、貸家建付地の賃貸割合の考え方の変遷をうかがえたのもよかったです。空室割合の考え方が、これも実体に即してないと感じるのです。1つの土地の上にアパートを建ててしまえば、その土地全体の利用度は制限されてしまうわけで、空室であっても空室割合分の土地が自用地として利用できるわけもなく、これも今後の検討課題ではないかと感じています。貸家建付地にして土地の評価額をとにかく下げようとする人がいるから、善意の人まで迷惑を被ることになるのでしょうか。

11月28日 公益財団法人日本税務研究センター

先月に引き続き、近畿税理士会との共催で開催されている「課税実務の留意点」第3回の「法人税・課税実務の留意点~最近の税制改正を中心として~」に参加しました。今回の講師は税理士の小池敏範先生でした。近年の改正で少しずつ変わったり廃止されたりの根拠が不明瞭で、変わり方が納得できない点があったのですが、小池先生の丁寧な説明で、改正の方向性が見えてきて、理解が進んだのは本当にありがたかったです。似たような名前で内容を変える改正の仕方は誤解を生みやすく、間違いのもとだと思います。影響する金額が大きいと間違えた時の税賠が恐ろしく、本当に慎重になります。それができてこそのプロなのでしょうが、勉強が仕事の仕入れだと再認識した次第です。

11月10日 東海税理士会

 この日は、税理士・公認会計士・弁護士の関根稔先生から「一般社団法人の利用と課税関係」「信託の利用と課税関係」という2つのテーマで研修を受けました。関根先生は早くから(まだ世間が信託にあまり関心がなかった3年ほど前に、研修部副部長として研修をお願いしたときに、このテーマで研修をしたいといわれました。しかし、その時点では参加者がいかほど見込めるかに自信がなくて、他のテーマで研修をお願いしたことがありました。)このテーマに強い関心を持ってみえたので、楽しみにして研修を受けました。
 関根先生は肩書にもあるように、税理士と弁護士の両方の視点からお話しをしていただけるので、問題がどこにあるかが理解しやすいのです。
 そして、最近のように相続人がいない場合、あるいは相続人が等しい権利があると主張する方が増えている(争いの件数が増加)今日にあって、一般社団法人や信託が利用できれば、財産を残す方の意思を尊重した相続ができることがあるということ、また、それらを利用すれば節税ができるとの囁きにお客様が騙されないためにも、これらの知識は大切であることがわかりました。
 相続人がいない高齢者が自分の財産が有効に使われるように、奨学金を払う一般財団法人を設立する提案はいいと思いました。以前、相続財産をペットにあげたいという遺言書の是非が論じられていたことがありますが、そんな寂しいことではなくて、世の中に役立つお金の使い道を提案したいものです。
 また、複数の相続人がいても、今後の生活が自立して成り立たない相続人に対し、優先的に、しかも一度にではなく定期的にお金がわたり、その方がなくなったら、残りの相続人にお金がわたるように信託を利用するというのも、有意義だなと思いました。

10月19日 公益財団法人日本税務研究センター

 この日の研修は公益財団法人日本税務研究センターと日本税理士会連合会が主催する日税研租税ゼミナールの第2回「消費税・課税実務の留意点~最近の税制改正を中心として~」(講師:税理士 金井恵美子先生)が近畿税理士会館で行われました。消費税は政治に翻弄されており、複数税率の採用(政府は軽減税率の採用と言っている)が平成30年10月1日からとなりそうですが、税理士会はまだまだ複数税率導入に反対しているほど、実務的には多くの問題をはらんでいます。今回、政府動向にも詳しい金井先生の研修があるということで、大阪まで行ってきました。早めの確認ができてよかったと思います。現時点での情報をもとに、関与先の皆さんへのアドバイスをしていきたいと思います。平成31年10月から、区分記載請求書を発行することになりますが、発行者としての注意点と受け取る側としての注意点を明らかにすること、現在消費税の課税事業者でない納税者の方はインボイス制度が導入される平成35年10月前に消費税の課税事業者を選択するかどうかを決めなくてはならないことなど、あまりゆっくりしてはいられないのかなと思います。

10月12日 東海税理士会

 この日の研修はいよいよ取扱いが始まったマイナンバー制度について、実務上の留意点と、実施が始まってからも改正がされているこの制度の最新動向についての研修会がありました。「マイナンバー制度の再確認と実務上の留意点」について、個人情報保護委員会事務局 上席政策調査員である税理士の鈴木涼介氏が、「法律面のマイナンバーの最新動向について」を、弁護士の影島広泰氏がお話ししてくださいました。
 マイナンバーを記載すべき書類、記載してはいけない書類、保管上の注意点など、改めて確認できたので安心しました。
 また、私のような税理士業務をする事務所は、中小規模事業者として特例を受けられない「個人番号関係事務実施者」になること、税理士として税務代理を行うことは納税者が自ら行う行為の代理人になるという分け方をされることが確認できました。
 この制度はまだ始まったばかりですので、実際に動き出したら想定外の使いにくさ、危うさが判明し、改善されていくものと思います。

9月14日 東海税理士会

 社会保険労務士 服部英治先生をお迎えして、「社会保険・年金制度に関する最新情報と盲点となっている企業の労務管理対策」と題する研修をしていただきました。一言で言えば「労務管理はむつかしくて、対応を誤ると怖いな」と感じました。確かに労働基準法は労働者を守る法律ですから、杓子定規にすすめれば、会社の存続ができなくなっても、この人の権利を守るためには仕方がないねということです。

 しかし、会社が負担に耐えかねてつぶれてしまったら、そこで働く他の労働者も含めてみんなの生活を守れないという矛盾を抱えています。会社にとって持続可能で、従業員にも不利益を強いるわけではない就業規則ってどういうものなのか。いろいろな場合を想定して規則を考えなければならないです。

 しかし、本当に賃金が保証されればいいのか。会社は労働者の権利を守る、ならば労働者の義務の履行を会社はどうすれば保障されるのか。働く者にとって本当の喜びはどこにあるのか、いろいろ考えさせられる研修でした。

9月12日 東海税理士会

 日税連全国統一研修会の一環として、東海税理士会では名城大学法学部長である伊川正樹教授をお迎えして、「譲渡所得課税の全体像―基本原理から個別事例までー」というテーマで研修していただきました。

 相続税と譲渡所得税がどういう論理により調整されているか、諸外国ではどうかという検討も交え、諸外国と比較するには遺産税の課税体系がそれぞれの国によってちがうことをあげられ、単純に他国と比較しての批判はできないことを説明されました。

 それでは、日本の法体系のなかではどうなのか。調整をあまりすすめると、税の持つ所得再分配機能、格差是正機能が弱まること。ただし、現実の事案をみるといくつかの問題点があり、税法の解釈でなんとか納税者を救済できないか、という問題、あるいは法改正をすすめなければ解決されないであろう問題の指摘等がありました。戦後シャウプ勧告を受けて制定された税法でしたが、日本の国民感情、実情等にあわないとして部分的な改正が繰り返される間に、だんだん整合性が崩れていってしまっていること、そして、本当に法制定当時では考えもしなかった事象が起きていることも事実です。

 地道な研究により、よりよい方向を探っていっていただきたいと思います。

9月5日 TKC中部会

 株式会社致知出版社代表取締役社長 藤尾秀明氏 をお迎えして「出会いの人間学」と題する講演をしていただきました。

 講師の熱意が強くて、2時間の研修を終えた時には、受講しているこちらがぐったりしてしまうという感じでしたが、気持ちは高まり、藤尾氏が情熱を持って取り組んでみえる雑誌致知を早速購読することにしました。人生はパッションだよ、と言われている気がした講演でした。

8月19日 近畿税理士会、公益財団法人日本税務研究センター

 今年度の日税研実務ゼミ(全3回)は近畿税理士会と組んで、大阪で行われます。第1回目は岩下忠吾先生による「資産税・課税実務の留意点~最近の税制改正を中心として~」でした。

 最近の贈与税の非課税規定を考える前に、そもそも生活費、教育費等の非課税規定をどうとらえるかから講義は始まりました。

 私も「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税規定」や、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」規定は、本来の贈与税の考え方を捻じ曲げるものだという思いがして人に勧める気がしなかったのですが、「どうしても使いたいという人には、仕組みについてよく説明して本人に決めてもらうもので、税理士が勧めるものではありませんよ」、と岩下先生がいわれたことが印象的でした。

 実務としては、小規模宅地の評価減の規定の改正がもっともインパクトがあるかなと思います。課税要件の確認がより一層大切になると思いました。

8月3日 東海税理士会

 「最近の政治問題を税法の観点から考える」というテーマで三木義一先生の研修が行われました。三木先生は民間税制調査会(民間税調)の代表をしてみえて、「税のあり方を選挙で問い直そう」と訴えられています。

 「(1)税制を決めるのは何よりも主権者である納税者自身であること、(2)国民経済を健全に発展させるためには、経済成長に伴う格差の是正を通じての縮小が必要であること」がこの民間税調のポリシーで、それに則った意見書(民間税調大綱)を出して見えます。その視点からいろいろな問題提起がありました。

 各国の財政改革の取り組みをみると、日本だってあきらめるのはまだ早い。まだ何もしていないのだから。そして、国民一人一人が有権者としての自覚を持って、税金の使われ方にも関心を寄せるべきだという思いを、強くしました。

 この研修の最後に言われたことが憲法30条のことでした。「日本国憲法は、主権者は国民なので、国民が政府に(国の運営者である政治家に)命じているものなのに、憲法30条の納税の義務が入っているのはおかしいと感じたことがありますか?日本国憲法制定時に明治憲法から横スベリで入ってしまったのが、「納税の義務(30条)、勤労の義務(27条)、教育の義務(26条)」です。」というお話しを聞いたとき、もっと考えてものをいわなければならないな、と思いました。

7月21日 東海税理士会

 「事例の学ぶ法人税・消費税の取扱いの相違点」というテーマで東京会所属税理士の小池敏範先生の研修がありました。

 法人税法と消費税法での課税上の取り扱いが異なる点は100位あるということですが、そのなかの20の事柄についてテキストで取り上げてありました。法人税法は「収益費用対応の原則」と収益の計上の時期が大切な判断基準となりますが、消費税では、資産の引渡しを受けたとき、又は役務等の提供を受けたときに課税仕入れがあったとされるので、法人税法と本則と特例が逆転する場合があり、実務において気をつけなければならないことの再確認の機会となりました。

7月9日 日本税法学会中部地区研究会

 この日は、本部勝大先生が「カナダにおける一般租税回避否認規定の生成と展開Stubart事件までを中心として」というテーマで、伊川正樹先生が「代償分割における代償債務の取扱い」というテーマで、そして、最後に、谷口勢津夫先生が「課税処分取消訴訟に係る訴えの利益と更正の請求の排他性」というテーマでお話しがありました。

 私は、遺産分割の方法として、民法上は現物分割、換価分割、代償分割が並列的に存在しているが、課税上の取扱いが異なる点で、代償分割の取扱いについて関心を持っていたので、この研修に参加しました。

 課税上の問題といっても相続税法上は、すべての相続財産を金銭に見積もって相続税額を算定するので、相続税はかわりません。しかし、金銭以外の財産(特に不動産)を遺産分割する場合、その後その財産を売却した場合における譲渡所得税の取扱い、また、その不動産が相続時点と分割時点で価値大きく異なる場合における不公平感をどう考えるか、ということが気になっていました。

 伊川教授の関心は、代償分割財産を取得した者が、譲渡時において被相続人(あるいはその先代等)の取得時点から相続時点を超えて、売却時までのその売却不動産の値上がり益について課税されること、一方で、相続時の代償金額の支払いを取得費に加算されないことにあるようでした。先生の結論としては、現行法を前提とした解釈論上も取得費としての控除は可能であると結論つけてみえます。現時点では争いのある事項ではありますが、今後の展開に注目したいと思います。

6月17日 TKCタックスフォーラム2016

 今年は、私の所属しているTKC中部会が研究発表を担当することになり、研究グループの一員として、1年間「会社法からみた税法上の非上場株式の時価評価―事業承継の視点から―」のテーマで研究し、論文の執筆にあたってきました。当日は、その研究発表を行ってきました。
 平成26年3月の中小企業庁から発表された「事業承継等に関する現状と課題について」によれば、「高齢化の進展に伴い、経営者の平均引退年齢も上昇傾向にあり、直近の経営者の平均引退年齢は、中規模企業で67.7歳、小規模事業者では70.5歳となっている。こうした中で、60歳以上の経営者の割合は20年前の29.8%に対して、2012年には51.8%となっている。今後10年間で、5割を超える現経営者は平均引退年齢にさしかかり、事業承継のタイミング」であると予想されています。事業承継の大きな課題のひとつは、その会社の株式を贈与あるいは譲渡する場合における税務上の評価額の算定の困難さと、その評価額による税の負担が重いことがあげられています。相続税、贈与税が重いことは十分認識されていて「事業承継税制」が制定されているのですが、そもそも税務上の「取引相場のない株式(非上場会社株式)」の評価については、税法上の規定がなく、もっぱら「財産評価基本通達」によって行われていることが実情です。この通達は昭和39年に制定されたものが、改正を重ねているものではあるが、現状に合わない問題が多数発生しているし、通達なので、制定改廃の理由が明らかにされないまま行われているという現実的な問題があるし、通達があたかも法のように幅をきかせるという現実がそもそも租税法律主義に反しているという問題がある。
 そこで、私たち研究グループでは、税務上「財産評価通達」に従った場合における現実との不一致による問題点を指摘した。そして、その解決方法を探る手段として、会社法上の「公正な価格」の算定方法を裁判例から検討し、税務上の評価においても、この考え方を取り入れることを提言した。そして、非上場株式の評価についての法律の制定を提言するとともに、早急な通達の改正を提言しました。事業承継問題の大きな要素である非上場株式の評価を国の喫緊の課題として国が真剣に取り組むことを要望します。

5月23日 TKC資産対策研究会 

平成27年11月から隔月6回コースで学んでいる「相続税の申告と実務対応」の第4回目「取引相場のない株式の評価」というテーマで研修がありました。講師はTKC税務研究所の研究員です。
 このテーマは、私が6月のTKCタックスフォーラム発表に向けて現在勉強しているテーマそのものであるため、とても関心があります。
 今回の研修では、取引相場のない株式の評価について規定している「財産評価基本通達」の内容を確認することにとどまらず、TKC会員から税務研究所によせられる質問のなかから、今回のテーマに沿ったものをいくつか紹介されました。ひとつは、投資育成会社が株主に含まれている場合の株式の評価でした。この場合の株主の判定を行ってから、それぞれの株主の区分に応じて評価方法の判定を行うことが必要であるということでした。関与先の増資に際し投資育成会社に株式をもってもらうことを検討中であったため、興味のある内容でした。そのほかの質問をみても、評価通達の適用についても複雑な現実をどうあてはめるか悩む事案があり、参考になりました。評価通達の規定そのものにも問題が多いと感じていますが、個別の事案のあてはめについても、理論的な考え方をしていないと規定に振り回されることになると思いました。


4月18日 TKC中部会 生涯研修

 青山学院大学法学部教授木山泰嗣氏においでいただき「課税要件と税務訴訟」というテーマでお話しを伺った。木山先生は鳥飼総合法律事務所の弁護士として10年以上税務訴訟専門に取り組んでみえた方です。
 私は、木山先生の著書の1冊である「『税務判例』を読もう!」を愛読しているので、先生の講義を楽しみにしていたとお話ししたところ、大学では指定図書にしていないにも関わらずこの本をもっている学生が多いということでした。
 木山先生のお話しはわかりやすく、最近の判例を紹介いただきながら、課税要件は何なのか、税務調査の時にそれをきちんと押さえておくことが大切というスタンスです。そして立証責任はどちらにあるかということを念頭において税務調査に対応しなさい、と話されました。
 いつも条文に立ち返って考えるということをクセにしたいと思います。

3月29日 TKC中部会 生涯研修

「世界最高峰での挑戦~開発最先端とエネルギーの未来」と題して、レーシング・ドライバーの井原慶子氏のお話しを伺いました。世界最速の女性カーレーサーってどんな人かと思って参加しましたが、静かな物腰の40代の女性の登壇に驚きました。
 彼女のお話しは、あっという間に終わり、って感じの驚きの連続でしたが、その中でも印象的ないくつかをお伝えしたいと思います。
 まず、1チーム2台のレーシングカーを持って維持していくのに必要なお金が1年間で600億円!!そのお金を集めるためのスポンサー探し。「18時間かけて書いた企画書が3分で捨てられるのを何度も経験しました。」ということでした。心がたくましい。
 そして、レーサーの世界は男女別なし。2014年にはその世界で女性レーサーとして世界最高峰・WEC世界耐久選手権の表彰台に女性初で上がり、ルマンシリーズで総合優勝だそうですが、そんな世界で伍していける体つくりは恐ろしい。「20㎞のジョギング、ウエイトトレーニング、・・・・仕上げに水泳50m何百本(あんまりびっくりして正確な数忘れました。)を週に3~4回します。」とサラリと言われました。体もたくましい。
 そして、私がすごいな、と思ったことは、一番の人に「どうしたら一番になれますか?」と聞きに行く姿勢です。その問いの答えは「コツコツ努力していると、溌剌となり、オーラで出るようになり選ばれる。」、「新しい場面に出会ったとき、負の部分に心をとらわれず自ら動く。そして、どんな環境も自分のものにして、やる。」ということでした。言われた時によくわからなかったことも、やっているうちにわかってきた、と言われていました。やった人だけが言える言葉ですよね。
 50チームが競う世界でも、トップチームは働く人の気持ちが違うということでした。ひとりひとりの能力はそんなに差はないけれど、違いは「働く人の気持ち」と優れたリーダーの存在。究極の人間の生きがいは、多くの人と喜びを共有することにあるのではないか、と彼女は話していました。
 企業経営も同じですよね。働く人が能力を発揮して働く環境を作るのはリーダーである経営者。同じ人数のチームであれば、すぐれたリーダーがいればどのチームも同じような力を発揮できるそうです。自分磨きにつきますね。

2月9日 TKC中部会

生涯研修において、社会教育家 モティベーションスピーカーという肩書を持つ田中真澄氏においでいただいて、「積極的に生きる~人生は今日が始まり~」というタイトルで研修を受けました。田中氏は現在80歳。37年前43歳で日経新聞社を退職し、独立。日本初のモチベーショナルスピーカーとして活動を開始され今日にいたってみえます。人間「生き方」が大切。それは、1.生涯観、2.仕事観、3.能力観により成り立つこと。1の仕事観では、いかに100歳まで働くか(終身現役=事業主)、2の仕事観では、事業主は厚遇(Hospitalityという言葉はHospital病院という言葉からできたもの、病院は年中無休24時間体制)・サービス精神(相手の困っていること、相手が望んでいることを迅速に解決すること)で臨むこと、3の能力観では、能力とは技術と知識も大切だけど、一番大切なのは習慣力だよ、というお話でした。習慣力をつけるには、1.早起き(朝6時半までに起きる)、2.歩く(一日1万歩)、3.しつけ(①あいさつ、②返事、③後始末)というお話がありました。習慣のすごさを数値に置き換えると、普通の人の能力を1、ちょっと怠け者の人の能力が0.99、ちょっと頑張る人の能力が1.01として、100年生きる予定だから、それぞれを100乗してみると、1100=1、0.99100=0.36、1.01100=2.7になる。この話を高校生にすると目が輝くといわれました。私の目も輝いたと思います(笑)。私に足りないのは歩くこと。早速その夜万歩計を買いに行き、翌日から目指せ1万歩で歩いています。

2月5日 東海税理士会

税理士 青木丈氏と、総務省行政管理局 井上隆彦氏による「改正行政不服審査法に関する研修会」のDVD研修が東海税理士会会議室で行われました。これは、昭和37年の行政不服審査法制定に伴い導入された行政不服申立制度が抜本的に見直され、平成26年6月13日に行政不服審査法関連法が公布されたことで、新たな制度が始まるため、その理解を深める研修でした。
今回、不服申立前置制度が大幅に見直しされました。審査請求した場合には、行政処分をした者とは別の者が審査を行ない(審理員)、審理員は審理員意見書を審査庁(上級行政庁)に提出します。不服申立をした審査請求人・参加人は、口頭意見陳述に加え、処分庁等に対する質問もできることになりました。また、行政庁から提出された全ての書類・物件が閲覧できることになり、かつ、書類のコピーもできることになりました。私たちに関係する税の争いにおいて、証拠として提出された書類を閲覧できるだけでなく、コピーもできるというのは大きな改善です。迅速、透明な審査が期待されます。

平成28年1月22日 TKC中部会新春特別講演会

齋藤孝氏を講師にお招きし、「活気ある組織を作る~コミュニケーション力~」と題する講演会が開催されました。「三色ボールペン」と「声にだして読みたい日本語」というイメージでしたが、実際にお話しを聞いてみるともっと広い分野に取り組んでみえました。そして、「声にだして・・・」でもわかるように、体を使って身につけることを大切にしてみえて、その日の講演会も、お話しを聞くというより、みんなで一緒にトレーニングする、という感じでした。「コミュニケーション力」ということばをよく聞くようになったと思いますが、その大切さが認識されるようになっているのでしょう。全身に血液がまわるようウォーミングアップをすると笑顔になれること。ハイテンションで相手に向かうこと。そして、初対面の人(たとえばエレベーターの中でのぎこちない雰囲気を和らげるのにも)との雑談力を磨こうというトレーニングをしました。固い顔の人たちも笑顔で話をすると会場の空気も和みました。帰りのエレベーターの中では、みなさんいい顔をしてみえて、楽しい講演会だったと言ってみえました。日常生活で早速実践してみようと思います。

平成28年1月18日 TKC全国会資産対策研究会

平成27年10月より、隔月で1年間「相続税の申告と書面添付」(TKC全国会相続税書面添付検討チーム 2015年、TKC出版)をテキストに使って行うことになっている研修の第2回目がありました。平成27年1月1日以降開始される相続から基礎控除額が下がり、相続税の申告が増えると思考されており、TKCは相続税の申告書にも書面添付を行うことを推進していこうということでこのテキストが作成されたと聞いています。
第2回のテーマは「相続税申告の考え方とスケジュール」「相続財産の調査と確定」の2つであった。どちらも基本的なことではあるが、スケジュールについては、書面添付を念頭に業務の進捗に合わせて取り交わすべき書類のことなどが書かれています。また、財産調査については、細かいことではあるがどうしたらいいかな、と今まで迷っていたことも書かれており、執筆者の先生方の知識と経験がつまっていて実務に役に立つと感じています。
私自身はここ数年の相続税の申告には書面添付をすることにしています。それは、自分が調べてきたこと、判断したことをまとめておくのに、書面添付を利用しているからです。自分に対し、後でみてもわかるように説明しておくことが、ひいては税務署への説明にもなると思うので、この仕組みを利用しています。

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