研修報告

2月14日 TKC租税判例研究会

  確定申告期直前の研修でしたが、同志社大学法学部教授の田中治先生の指導のもと、判例2題の研究をしました。第1の事案「外国親会社によるアワード付与利益に係る源泉徴収義務」(東京高裁平成27年12月2日判決)と第2の事案「固定資産税における介護付有料老人ホーム等の付属駐車場の住宅用地該当性」(東京高裁平成29年8月24日判決)でした。
 私としては、第2の事案のほうに興味がありました。東京都税事務所の条文の解釈に反対して、納税者が訴えを提起しました。最初の課税通知書に疑問を持ったことが出発です。地方税法を丁寧に読めば、裁判所の判断のようになると思われ、東京都の解釈には無理があると思われます。
 実務においては、新しい不動産であれば評価額の妥当性を検討すべきであるし、従来から賦課されていた固定資産税であっても、その根拠に関心を持って、課税通知書を検討すべきであると感じました。

1月26日 TKC中部会 新年互礼会 特別講演会

 講師に株式会社マザーハウス代表兼チーフデザイナーの山口絵里子氏をお招きして「一歩踏み出す勇気~途上国から世界に通用するブランドを作る~」というテーマでお話しいただきました。
 私は、山口絵里子さんの著書『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』『裸でも生きる2 Keep Walking 私は歩き続ける』『自分思考』の3書籍を読んで、当日お話しが聞けるのをとても楽しみにしていました。本当に過酷な環境で、途上国の人たちと対等な関係で、「日本で通用するブランドを作る」を貫けているのか?投げ出したくなるような目にいっぱい出会う、まさに号泣戦記である著書から受ける印象と違って、困難を飄々と乗り越えて生きているという印象の女性でした。「どうしてあんな危険な国々へ一人で行けるの?」って不思議に思うほど華奢な女性でした。でも内なる闘志は相当のもの。人を見かけで判断してはいけないです。
 印象的だったことは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ということがこの事業を始めるミッションだったわけですが、それを会社のphilosophyとして掲げていたことです。会社の経営にはトップが哲学、ミッションを持つことが重要だと話してみえました。そして、それを全てのスタッフに浸透させていくことを大切にして、その上で、それが自分自身の判断基準として生きていて、迷った時の自分の判断の軸となっている、まさに「生きている経営理念」と感じました。会社を大きくしたいのではなくて、経営理念の具現化のために活動していたら会社が大きくなってきた、という感じです。バングラディッシュ、ネパール、インドネシア、セイロンと生産地は広がり、今はインドを開拓中とのこと。お店は台湾、香港に広がっています。1年のうち8か月くらいは海外の生産現場で、4か月くらいが日本だとか。12年間で1人から350人の会社へ。だから、5年後、10年後の自分の姿、会社の姿を想像できないと話してみえましたが、自分を必要としていることとの出会いによって未来は広がっていくということでしょう。「自分で決めたことだから、なげだせない」「人からの評価ではなく、自分が納得しているかが大切」「働くことが喜びになるってどういうことか?」「生きるってどういうことか?」と問い続けながら生きているその姿が一緒に働く人たちに浸透して発展していくのだと感じました。新しい経営者の姿を見た気持ちがしました。

12月14日、15日 東海税理士会「成年後見人等候補者更新研修会」

 2日間にわたる更新研修会がありました。ニーズは高まっているのに、身内が成年後見人になる場合のリスク回避のための専門家の関与の大切さ。一方で、専門家による不祥事の報道により専門家も信用されない現場。
 そんななかでも、税理士が成年後見人として関与していくメリット、安心を広く広めていく活動をしている方々のお話しは印象に残りました。長生きは素晴らしいけれど、安心して長生きできる世の中作りに微力ながらかかわりたいという思いを強くしました。 

12月6日 TKC中部会 生涯研修

 講師に「捨てられる銀行と生き残る銀行」の著者である共同通信社経済部記者の橋本卓典氏をお迎えしての研修でした。この本を書いたときから今起こっていることまでのお話しをします、ということでした。
 確かに、現場は刻々と変化しています。銀行も中小企業経営者も、経営者をサポートする私たち税理士も、今起きている現象から今後を予測して、経営者がどう生き残って、発展していくかを考えなければならないな、と思いました。
 お客さんの一番の悩みは「自社の持続可能性」。だから、税理士は税理士としての仕事はもちろん、リスクマネジメントコンサルタントをし、お客さんを伴走することが求められているのではないか?ということでした。
 そして、第二部が「トータルリスクマネジメント研修~税理士がおこなうリスクコンサルティングについて」というタイトルでTKC会員の中島司氏の研修でした。
 税理士が、コンピューターの発達に負けない仕事をするには、結果の処理ではなくて、経営者の心に寄り添って、企業の発展を目指して一緒に考え、気持ちの後押しをすること。ただし、精神論ではなくて、確かな財務データに基づいたアドバイスができることかな、と思いました。

11月15日 TKC中部会愛知県北統括支部研修

 名古屋学院大学名誉教授で税理士でもある岸田賢次先生を講師にお招きし「決算について考えてみよう」というテーマで研修を受けました。
 最初に、某大手金融機関が見抜けなかった粉飾決算書をアレンジした決算書を使っての研修で始まりました。以前にもこの決算書を見せてもらったことがあり、「何か変だな」と思い融資に反対票を投じたのですが、現実には融資の数日後に倒産しましたと聞いて、自分の感にほっとしたことを覚えています。今日は「なにか変だ、は直観?これは結構正しいよ」という視点からお話しがありました。それは、経営分析値からいうとこの決算書はおかしくないのです。だから、某金融機関は騙されました。でも、経営分析値では表せないものがあるということです。監査の世界での「適正な処理」とは、会計基準に従っているといっているだけで、内容の良し悪しをいっているわけではありません。数値をよくするために行われていることはないか、数字で表されている事実を想像して考えることが必要だと思いました。

11月14日 TKC生涯研修

 税理士 金井恵美子先生を講師にお招きし、「消費税実務事例の検討」というテーマで消費税の悩ましい実務事例12題を中心にお話ししていただきました。消費税法には、法人税や所得税の常識が通じないところがあり、問題に直面した場合には、丁寧に条文を読み解くところから出発しないと、判断を誤る危険性があることを再認識しました。
 また、平成29年度の税制改正事項から消費税に関する点を確認していただきました。なかでも、「災害に対応するための特例措置の常設化」ということが重要と感じました。それは、災害はいつやってくるかがわからないので、事前に知識を持っていないといざというときに対応が遅れてしまうことがあると思うからです。こんな知識が役に立つ日がこないことを祈りますが、知識は知識として持っていたいと思いました。

10月30日 TKC中部会 租税判例研究会

 今回の租税判例研究会では、平成19年に、青果荷受組合が当時の理事長への多額(元金48億円余)な貸付金を債務免除したことに対し、税務署がその債務免除に係る経済的利益は理事長への賞与に該当するとして、組合に対し源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を行ったことに対する争いについての事案を検討しました。
 この事案の主な争点は、① 本件債務免除益が給与等に該当するか、② 本件債務免除益が給与等に該当する場合、収入金額に算入すべきか(債務者が「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」に債務免除益を収入金額に算入しない旨を定めた「旧所得税基本通達36-17」を適用すべきか)、です。
 これに対し、第1審(岡山地裁H25.3.27判決)では争点①を判断することなく、争点②について、本件債務免除当時、理事長の負債は資産の20倍近くあり、年間収入に照らしても近い将来債務全額を弁済することが可能であったともとは認められないから、仮に、本件債務免除益が給与等に該当するとしても、これを理事長に係る給与等の源泉所得税の計算上、収入金額に算入すべきではないとして、本件各処分の取消しを命じた。
 控訴審(岡山高裁H26.1.30判決)では、争点①について、組合が本件債務免除をした主たる理由は理事長の資力喪失により弁済が著しく困難であることが明らかになったためであると認めるのが相当であるとし、本件債務免除は、役員の役務の対価とみることは相当ではなく、所得税法28条1項の「給与等」に該当するとはいえないから、本件債務免除益について、組合に源泉徴収義務はなく、本件各処分は違法であるとして、争点②を判断することなく控訴を棄却した。
 上告審(最高裁H27.10.8判決)は、争点①について、所得税法28条1項の給与所得は自己の計算又は危険において独立して行われる業務等から生ずるものではなく、雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供した労務又は役務の対価として受ける給与をいい、上記給与には、功労への報酬等の観点も考慮して臨時的に付与される給付であって、金銭のみならず金銭以外の物や経済的な利益も含まれると解されるとした上で、本件債務免除益は理事長に対する賞与又は賞与の性質を有する給与に該当するべきであると判断した。そして、争点②について、更に審理を尽くさせるため、差戻し前の控訴審判決を破棄し、広島高裁に差し戻した。
 そこで、広島高裁で争点②について、審理を尽くすこととなった判決(広島高裁H29.2.8判決)では、理事長の有する資産と負債を評価して、債務免除当時においては、理事長が資力を喪失して債務全額を弁済することが著しく困難であったと認めることができるものの、債務免除により資産が負債を大幅に上回る状態になるので、債務免除に係る48億円余の全額を債務免除益として源泉所得税額の計算上給与に算入した本件各処分は適法とは認められない。債務免除後資産が負債を上回ることになる12億円余は、債務免除により、理事長の担税力を増加させる「経済的な利益」に該当することが認められるとして、その部分については、理事長の給与等に該当し、定期に支払われるものではなく臨時的なものであるから賞与となると判断され、納税告知処分等のうち、その金額に対応する源泉所得税を超える部分についてのみ違法とされた。
 しかし、問題がいくつもあると考える。
 まず、この判決が今後の判断の先例となっていくことになると思うが、債務免除益が課税されるか非課税となるかの判断において、資産と債務の評価額について争いがあるような場合に、会社の判断が困難になること。また、会社と役員との金銭のやり取りについて、安易に給与認定されていくのではないかという心配がある。
 そもそも本事案の場合には、理事長の返済能力を超えていることは承知の上で安易に貸付を繰り返しているという実態があり、理事会も開かれていないこともあり、極めて異常といえる。この事案の異常さを脇において前例となっていくことに不安を感じる。また、他の役員がこのような安易な貸付の繰り返しにより組合に損害を与えたことにたいする損害賠償請求をしないのも異常である。
 理事長がこのまま、債務免除益が非課税となって、何も失わないで借入を続けていけるのは課税公平主義に反するとは思うが、このような課税処分しか方法がないのであろうか。

9月22日 税理士会主催 租税教室講師研修

 日税連では、平成26年の税理士法改正により、会則において租税教育等が税理士会が行う事業と定められたことから、各税理士会においても、税理士が行う租税教室の質的レベル向上に向けて講師研修に力を入れています。この日は、日税連が発行している『租税教室副読本「税って何かな?」』を使っての研修がありました。私自身も今年度より使い始めたところでしたので、研修を受講しました。
 税理士が行う租税教室とは、生徒たちが税金の成り立ち、種類、考え方、現状を理解し、今後のあるべき姿を考えるというものです。だから、私たちは単に税金のことを話せばいい、というのではなく、税の仕組みを通して日本の国のあり方についても考える機会を与えて、生徒たちが良い社会人を目指す一助になることを願って行うものです。
 自分自身のことを振り返り、考える機会となりました。

9月7日 TKC生涯研修

 専修大学法学部教授の増田英敏先生においでいただき「税理士の損害賠償責任の範囲と紛争予防(注目裁判例を素材に要件事実論的視点から解説)-税理士の職務と責任とリーガルマインドの再確認のためにー」というテーマで講義を受けました。租税正義の実現を基本に誠実に税理士業務を行っていても思わぬミスにより損害賠償責任を問われることもあるという現実に対して、日ごろより何に注意したらいいかを、改めて考えさせられる研修でした。究極は「税務に関する専門家」として精進していくほかはないのかな。現実の行動としては、法的思考を身に着けるように絶えず勉強し、現実の事例に対処していくことで、自分自身のレベルアップを図りたいと思います。

8月18日 TKC中部会 生涯研修

 甲南大学教授・経営学博士であり、TKC全国会最高顧問である川﨑照行先生をお迎えして「『中小会計要領』の普及と中小企業育成のシナリオ」と題する研修をしていただきました。川﨑先生の指導教官であられた武田隆二先生(TKC全国会第3代会長)がお亡くなりになり、今や「中小会計要領」の第一人者であられる川﨑先生のお話しは、15年に亘る歴史的背景も踏まえて話していただき、非常にわかりやすいものでした。私は武田先生が中小企業には中小企業にふさわしい会計が必要であるということを話されるのに、「大人には大人の服を、子どもには子どものための服が必要であり、単に大人服を小さくしただけではダメなんだ」と話されていたのが印象的だったのですが、その流れを踏んだ川崎先生のお話しを伺い、中小企業の経営者にとって理解しやすい会計を使って、経営者自身が自分の会社の力を客観的に知り、経営に生かしていくことの大切さを改めて認識しました。

7月6日 東海税理士会

 弁護士 伊藤真氏から「税理士として知っておくべき憲法の知識~最近の動向にも触れながら」というテーマで研修を受けました。伊藤真弁護士は「一人一票実現国民会議」の発起人であり、憲法9条改憲阻止に向けて「9条の会・世話人」でもあります。一人一票の意味、重要性がよく理解できました。県や地域の代表ではなく、国民の代表として国会議員となる人たちが何もすべての都道府県を単位とした代表である必要はない。国会は地域の利害を話し合う場ではないのだから。1票の重みがどこに住んでいようと国民として等しくなければならないのは当然のこと。

 そして、以前「中高生のための憲法教室」という伊藤氏の著書を読んで、なんとわかりやすい本なのだと感心しました。研修のなかで、この本を「中高年のための憲法教室」と読み替えてもらっても、内容になんの遜色もないと話されていたことが、印象的でした。法律にかかわる仕事をする者として、憲法はよりどころです。「社会の基本的価値基準たる憲法を知っておくことが必要」というお話しに「知る」ことにもっと貪欲になろうと思いました。

6月 TKC生涯研修「税制改正研修」 

 毎年この時期には税制改正研修があちこちで行われます。「所得税法等の一部を改正する法律」が平成27年3月27日に成立、公布され、4月1日より施行されています。今年も何度目かの税制改正研修を受講しました。講師はTKC税務研究所の対象税目のスペシャリストの先生がお見えになります。今年は法人税と所得税関係に時間がさかれました。
 法人税法関係では、企業の競争力を高めるため、研究開発税制の見直しが行われました。試験研究費の平均売上高に占める割合に応じた税額控除割合に応じた税額控除が受けられます。また、製造業だけでなくサービス業も対応できるように、試験研究費の範囲の拡大も行われています。
 所得税法関係では、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが最も注目されています。配偶者控除については、配偶者控除をする居住者の所得の応じて控除金額が変わること、配偶者特別控除についても、配偶者特別控除をする居住者の所得に応じて控除額が変わることは配偶者控除と同じだが、その対象となる配偶者の所得金額は拡大されている。これは、平成30年分以後の所得税について摘要される。ただし、給与所得控除金額の見直しはされていないので、給与所得者本人の税額には影響しない。この点についての質問が多いので、新聞報道等により誤解されていると思われます。

 5月22日 TKC全国会資産対策研究会春季特別研修会

 TKC会員である今仲清先生から「平成29年度税制改正(政省令対応版)~ 資産税を中心として~」というテーマで、山本和義先生から「相続財産がないことの確認」というテーマで研修を行っていただきました。
 今年度の税制改正項目は少ないのですが、取引相場のない株式等の評価の見直しや広大地評価の見直しのように通達の改正でありながら、実務への影響が大きいといった分野の改正がありました。通達の改正は事前に改正の流れを確認しにくいということがあり、研修での正しい情報の収集が早くできてよかったです。ただし、講師の今仲先生がおっしゃるには、税制改正確定発表前の事前の情報に苦労してみえるようで、事前に情報を流しているのであるから、早期に情報を確認して改正前に打つべき手を打つことの大切さを強調してみえました。私はオンデマンド研修を3月中に受けていたのですが、実際には研修の受講者が少ないということでした。私は非上場株式の評価の改正に合わせて、株式の譲渡時期の検討をしたところもあります。
 また、山本先生の講義は、相続財産のないことの確認方法と、確認したけれどもその財産はなかったということの記録の重要性についてお話しがありました。私も申告すべき財産の存在の確認はするのですが、なかったことの証明にまで配慮がたりなかったことに気がつきました。ないことの確認までしているから、漏れのない申告書であることを書面により証明することができます。具体的な請求書類まで公開していただき、大変参考になりました。今後の業務においてすぐ実行したいと思っています。

4月19日 東海税理士会

 「税理士が知っておきたい民法改正」というテーマで弁護士の内田久美子先生の研修を受けました。前日の研修のまさに続きといった感がしました。民法が大きく改正されようとしている今、今後どうなるかを知りたいと思い参加しました。内田先生も「今この時期にこのテーマの研修を企画された東海税理士会さんはすばらしい」と言われていましたが、時機を得た研修であったと思います。
 債権や契約など民法の中核部分の改正は120年ぶりとのこと。社会・経済の変化への対応を図り、国民一般にわかりやすいものとするために行われるものだそうです。「時効の中断」など、言葉の意味がわかりにくいものなどが、改正されるようですし、今まで条文に規定がなく、判例により取り扱われていたものが規定されるなど、国民を守るもの、わかりやすいものを目指していることが理解できました。
 相続法の分野も高齢化社会の進展や国民の意識の変化に伴い、昭和55年以来の抜本的な見直しが検討されているそうです。しかし、まだまだ方向性が固まっていないものもあるようで、今後の報道に注意していきたいと思います。

4月18日 TKC中部会

 弁護士・税理士・社労士である山本洋一郎先生をお迎えして「事例でわかる税務と法律」というテーマで研修を受けました。
 山本先生は税務訴訟の勝訴率全国1位の弁護士ということで有名な方です。山本先生は、税法学の世界は、「簿記会計学」「民法等の実体法」「民事訴訟法」「行政法」の4本の柱の上に、「憲法」という屋根からなる家の構造をしていると説明されました。税理士は「民事訴訟法」になじみがない。しかし、税務調査立ち合いの時からすでに税務訴訟は始まっていること、そうなると裁判官の思考ルールを知らなければならないこと、それには民事訴訟法の基本原理を抑えることが重要である、というように講義が始まりました。税務調査の現場で調査官の無茶な指摘に対して民事訴訟法から、その無茶振りをすぐに指摘できるようにならないといけないということです。私自身の経験を振り返ってみて、「立証責任の分配」について自信がなくてすぐに主張できないばかりに結論を得るのに手間取ったことがあり、未熟であったと反省しています。研鑽を積みたいと思います。

3月24日 TKC中部会生涯研修

 第1部は「労務トラブル急増!今すぐ見直したい“会社を守る”就業規則・賃金体系」というタイトルで特定社会保険労務士の山嶋紀之氏より研修を受けました。
 山嶋先生がいわれるように、今は就業規則のひな型の類は簡単にネットで取ることができるので、それでよしとしている会社が多いように見受けられるが、実際には会社の実情に合わせて制定することによって、無用なトラブル、余分な割り増し賃金の支払を避けることができる場合があるので、慎重にするべきとのことでした。
 昨今は残業代の未支給という問題が新聞紙上で散見されるので、就業規則の見直しにプロの手を借りるのも必要かな、と思いました。
 第2部は「信託を活用した相続税対策」と題して税理士の笹島修平氏より研修を受けました。
 信託については何度かいろいろな講師から研修を受けましたが、当日のお話しは主に家族信託の実際と課税関係でした。いままでの研修は仕組みについてのウエイトが高く今一つ税の扱いについてわからなかったのですが、家族信託の契約を締結した時点で贈与税、遺言信託であれば相続税が課税され、契約によって誰が納税者になるか、という問題が簡潔に説明され、納得のいくものでした。
 信託は、相続税対策ではなく相続対策だと思いました。親の財産を本当に支援したい子に支援したい形で相続させる、それを形にするのが遺言信託だし、相続人に頼れる者がいれば、十分家族信託で親の希望を叶えることができると思いました。
 関根稔先生の信託の研修を受けたとき、信託は将来に亘る生活が不安な子がいる場合に利用するものだというお話しがあったのですが、まさにそうだなあと考えさせられる研修でした。

2月15日 租税判例研究会

 TKC中部会において、第126回租税判例研究会がありました。毎回判例2題を研究します。今回は「いわゆるヤフー事件」と「節税策に伴う課税リスクについて顧問税理士に説明義務違反ありとされた事例」でした。
 この事案(東京地裁平成28年5月30日判決)は、中小企業のオーナーが会社に対して有している貸付金が相続税の課税対象となる相続財産になることをどう回避するか、という相談が会社の顧問税理士法人にあったのが事の始まりでした。その対策に着手したところでオーナーが亡くなり、相続が開始しました。その相続税の申告を相続人が別の税理士法人に委託したため、会社の顧問税理士法人と相続税の顧問税理士法人の見解の相違による争いとなりました。会社の顧問税理士法人も当初の担当者が退社し、次の担当者及び代表税理士との間の引継が悪かったようで、ミスがあったのも事実です。相続税対策の提案も、最初の担当者の提案(第1案)と代表税理士の提案(第2案)が、比較検討されることなく第2案が進められ、結果として第2案は良い提案ではなく多額の法人税の支払いを余儀なくされたとして3億円余の損害賠償請求を受け、第1審では会社の顧問税理士の全面敗訴となりました。
 この事案を研究していて思ったのは、税務について十分な研鑽を積んでおくのはもちろんとして、1.相談、提案を文書で残すことの大切さ、2.どんな提案においても、税務の世界で一方的に有利ということは少ないので、その対策を取った場合のメリット、デメリットの比較検討を十分にした上で、納税者が納得して対策を実行することの大切さ、3.その選択過程を書面に残す大切さ、4.そして、担当者は人間ですから、退社だけでなく病気等業務に当たれなくなる場合に備えて、所内の意思疎通を十分に行うことの大切さなど、日常の業務のあり方を考えさせられる事案でした。

1月17日 TKC全国会資産対策研究会

 この日は、今年度(平成28年9月―平成29年8月)の研修テーマ〔土地及びその他の財産評価(相続税財産評価の税務判断)〕6回シリーズの第2回目でした。当日の講師はTKC税務研究所からおいでいただいた永瀬満先生でした。
 この日平成29年度税制改正大綱(概要)の資産税関係の情報をいち早くいただきました。相続財産評価については、通達であるにもかかわらず、例年税制改正大綱にあがります。私たちの業務に最も直結するのは、取引相場のない株式の評価における類似業種比準方式による株価の算定式の見直しがなされたことでしょうか。この問題については昨年のTKCタックスフォーラムにおいて中部会で研修発表させていただいたときに指摘した問題点のひとつでした。今回の改正点は1.類似業種株価がその評価時点の1年平均から2年間平均株価の選択ができるようになったこと。2.比準要素(年配当額、年利益金額、純資産価額)の3つの要素の比準割合が1:3:1から1:1:1となって、利益金額のウエイトが高かったのが平準化されました。しかし、これで問題が解決されたわけではありません。今や1つの企業が複数の業種にまたがる業務をしていて、何業種とはいえない場合、「その他のその他」業種に分類されてしまって、実態を反映しないということもあるからです。これも、昨年の研究発表で指摘しています。抜本的な改善がまたれます。とにかく、この改正は平成29年1月1日以降の相続、贈与において適用されるので、要注意事項です。
 また、この日のテーマである土地評価については、倍率適用の土地であっても、留意すべきことはたくさんあるよ、というご指摘がありました。1番に言われたのは、建築基準法の「一建築物一敷地の原則」を壊す遺産分割協議をすると、その後建て替え、売却ができない場合があるということでした。古い建物ですと、増築を繰り返している場合、どういう経緯で増築したかまで確認しないで安易なことはしてはいけないとのことでした。私も先日相談を受けた方の固定資産の名義を確認していて、問題を発見したので、遺産分割時の注意点として指摘させていただきました。その時々で安易になされることはあるのだな、と実感した次第です。後半では、会員先生方から土地評価における様々な質問がありました。土地はひとつとして同じものはないので、そもそもの考え方をよく理解していないと間違う危険があると再認識しました。有意義な研修でした。

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